制御ソフトの開発は、ロボット工学の最先端よりおもしろい。
プロの仕事では「最先端」より「確実さ」が重要視されます。
私が大学院で専攻していたのはロボット。集団制御と呼ばれる分野で、ロボットを使ってサッカーの試合をやらせるような研究をしていました。半導体製造装置も自動化されているという意味ではロボットの一種ですから、大学で勉強した知識も活かせるのではないかと思い、TSSへの入社を希望したのです。
入社後の配属先はプローバの開発チーム。このインタビューにも登場している根岸の部下として働いている形になります。実際の仕事を体験して、驚いたのは、製品開発の現場では私が大学で勉強したような最先端の技術ばかりを使っているわけではない、ということ。産業機械は確実に動くことが命ですから、新しい技術よりも信頼性が優先されます。開発の現場では最先端の知識よりも、どうすれば目的を達成できるか、という知識や経験が問われます。なるほど、プロの世界はロボットよりもおもしろいな、と実感しました。
自分が心から興味の持てる仕事に就けて幸せだった。
入社直後に任された仕事で、印象に残っているのはプローバが不良を発見したチップにマーキングを行なう機能の改良。一枚のウェーハの上には、多いもので10万個ものチップが形成されます。そのため、不良品をマーキングするためのペンが、どのようなルートを通るかを変えるだけで、半導体の製造時間を大きく短縮できる可能性があるのです。大学で学んだ最適化の理論を使ってアルゴリズムを考えたのですが、とてもおもしろい仕事でしたね。
私に限らず、理系を志す人にはモノを作りたいとか、数字で割り切れる正解が出したい、という人がほとんどだとおもいます。その意味では半導体製造装置のソフト開発という仕事は、自分の書いてプログラム通りの答が出て、実際に機械を動かすことができます。自分にとって強い興味を感じられる仕事に就くことができたのは幸せだったと思います。